凡人日記

よろしゅう。

シン・ウルトラマンとそれにまつわる小話。

昨日公開したらしい。

ボクは幼少期に昭和特撮の英才教育を受けており

ウルトラマン仮面ライダーにはめっぽう強い。

性分は昭和オタクであり、庵野秀明イズムをもっ

ている数少ない2004年生まれを自称したい。

予告を見た感じすごい楽しそうな映画だ。

主演は僕の15年後の姿である斎藤工

(身長がまったく足りないのはさておき)

サンシャイン池崎にもなれるのだからウルトラマ

ンにもそりゃ容易に変身できるよな。

とてもいいキャスティングだとボクは思う。

造形も本家に忠実で庵野やるじゃんという感想。

はやく見に行きたい!

 

ところで、ウルトラマンに関する小話がある。

ウルトラシリーズには"ウルトラの父"というキャ

ラが存在するが、ボクは本当の"ウルトラの父"を

知っている。青森県出身の彫刻家・成田亨氏だ。

ウルトラマンをデザインしたのはこの人。

そして成田亨ウルトラマンに登場する怪獣も幅

広く手掛けている。

みんなが知ってる"バルタン星人"も"ゼットン"も

この人がいなきゃこの世には存在していない。

さて、『シン・ウルトラマン』では大学の大先輩

である津田健次郎氏が声を当ててる"ザラブ星

人"という外星人が登場する。ずる賢いやつ!

そんなザラブ星人成田亨が生みの親である。

彼の自伝『特撮と怪獣 我が造形美術』によると、

ザラブ星人の目元の窪みには、彼がイタリアの抽

象彫刻から学んだ表現が採用されているようだ。

このように、一見ただの"やられ役"である怪獣

は、実は創作熱意が込められた"アート"なのだ!

他にもこういった芸術に共通する表現技法が散り

ばめられた怪獣がたくさんいるのがいとをかし。

では、ウルトラマンにおける創意工夫は...?

 

もちろんある。

ウルトラマンの口元に注目してほしい。

なんとよく見ると笑っている!

これはアルカイックスマイルと呼ばれる、仏像に

よく見られる微笑がモチーフとされる。

これにより、ウルトラマンが地球人の命運を背負

った正義の味方であるという安心感が伝わる。

だから子供たちはそんなウルトラマンに憧れる。

だけどボクはつい最近大学で学んだ能の講義を通

して、ウルトラマンの微笑はそれ以上の意味をも

つと感じるようになった。

能において、普段の女性は"小面"という微笑を浮

かべた面で表し、怒った女性は"般若"という怒り

に満ちた表情の面で表す。

馬場あき子の著作『鬼の研究』によると、時とし

てその微笑は、般若の直接的な怒りに抱く恐怖を

を超えるそれを観客に植え付けるアイテムとなり

得る。小面の微笑は、いつでも般若に変化するよ

うな恐怖感がこもっていると解説される。

つまり、微笑の小面と怒りの般若は一心同体なの

だ!

ボクはウルトラマンの微笑にも、それと似たどこ

か修羅を秘めたような清澄さを感じる。

それは一歩踏み外せば地球人の敵にも成りうるこ

とをかすかに伝えているのではないか。

ウルトラマンはたしかに地球人の味方だが、地球

人ではない。M78星雲からやってきた宇宙人だ。

実際にウルトラマンが怪獣との戦闘の最中でぶっ

壊してきた建物やぺしゃんこに潰してきた地球人

はどれほどの数に至るだろう。

成田は怪獣も外星人も"人間"であると言う。

この作品に出てくる敵と味方のどちらも人間とは

まったく異なる特徴をもっているのに、"人間らし

い"デザインにしたからこそ、視聴者は知らないう

ちにキャラクターに親近感を覚え、約60年後も劇

場版にリメイクされ、それが成功の兆しを見せる

ほど多くの人に愛されるコンテンツが出来上がっ

たのではないだろうか。