新作公開記念のリバイバル上映。
大学からは新宿ゴジラの方が近かったけど、
あえて日比谷まで遠足して視聴。
2007年公開、スマホがない時代のロマンス。
鬱エンドの邦画としてよく紹介されるけど、
僕にとっては人生観を変えてくれた作品だ。
スクリーンで観るのは今回が初めて。
Amazonプライムの画面に比べて、
その迫力は1200倍(大学生料金)だった。
初めて見たのは中二の冬だったかな。
多感なガキにはあまりにも刺激的だった。
そのときエンドロールで頭に浮かんだのは
"鬱"というたった一文字のみ。
だけどどうしてか心が浄化された記憶がある。
その理由をまさに今大学の講義で学んでいる。
カタルシス(katharsis)
「登場人物に起こる悲劇が観客の心に怖れと憐れみの感情を呼び起こすことで精神を浄化する効果」(原文ママ)
中二のガキはすでに主人公に感情移入してはカタ
ルシスを感じてしまう演出馬鹿だったみたい。
この頃から映画の見方が全く変わらない事実に笑
っちゃう。
そんな自分がもう19歳だと思うと作品の切なさと
はまったく別の切なさを憶える。
この期に及んで二重で感動させてくるとは、
憎い作品だわな。(´-ω-)
たくさんの切ないシーンが詰まった90分。
もう桜花抄(第1章)も、コスモナウト(第2章)も、
主人公と同い年だからという理由で共感すること
はない。そのかわり、残りの第3章でこれまで以
上に胸が締め付けられたのは第1章と第2章に自分
の追憶を重ねてしまう年齢になったからかな。
バックで流れるOne more time,One more chance.
山崎まさよしが向かいのホームや路地裏の窓に向
かって大熱唱しているなか、貴樹は桜が舞う踏切
である女性とすれ違う。思わず振り返ったまさに
その瞬間に、視界は小田急線に遮られてしまう。
小田急線の向こう側には初恋の相手がいる。
貴樹はその方向をただただ見続ける。
大熱唱が終わり、電車が過ぎ去る完璧なタイミン
グでアウトロが流れ、映し出される向こう側の景
色。
ここはIMAXではより凄いことになっていた。
分かりやすく言うと体に電流が走った。(ウビビビ)
最後にアップで映る貴樹の表情は何度観ても心地
良い。この表情を見逃すか見逃さないかでこの映
画への感想が180度変わっちゃう。
帰りの電車でミステリー小説を読もうとカバンに
手を突っ込んだら、間違えてゲーテの詩集を取り
出してしまった。何の気なしにパッと本を開いて
みると、それは"追憶"という詩のページだった。