カムチャツカの若者が
キリンの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝靄のなかでバスを待って
ニューヨークの少女が
微笑みながら寝がえりをうつとき
ローマの少女は
柱頭を染める朝日にウインクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴ってる
それはあなたが送った朝を
誰かがしっかりと受け止めた証拠なのだ
オーストラリアやニュージーランドの人が太陽を浴びて寝に行くと、今度は中国やシベリアの人が太陽を浴びる。彼らも目を閉じて、今度はアフリカの、ヨーロッパの人が太陽の下踊る。踊り疲れて灯りを消す。それは必ず順番がきまっている。自分もそんな永遠に循環するにぎやかさの一部なんだ。なんて幸せことなんだろう。